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メルカリ先生の企業文化の強さをアリで立証します。

どうも、Emory更新担当の松谷です。

さて、今日のポエムは企業文化の具体的な浸透させなどの施策系Howは各所で語られているものの、何故あの3つなのか?という問い立てはあまり見た事がないメルカリ先生のコアバリューの正しさと強さについて、自然界と資本主義と生物学という3軸から立証してみようと思います。

生物学的に最も成功しているアリと人間。

いきなりのアリのうんちく話で恐縮ですが、生物学ではその種の繁栄の指標を総個体数×個体重量=総重量(バイオマス)で測ります。陸上生物においてアリのバイオマスは自然界で1位と言われており、2位は人間なのですがアリのバイオマスは人間の2倍〜30倍と言われています。

何故人間とアリは変化の著しい自然界で繁栄しつづけているのか?この2種間の共通性を紐解くと、「変化への適応力が高い共同体を、本能的に作り出している」というのが学術上の見解です。この適応力は「創発」という集団行動に秘訣があります。


創発とは、自律的な”個”が組織化することにより、個々の能力の累計を凌駕するシステムを作り出す集団現象です。(細胞で出来た人体、人の集合体であるコミュニティ、企業、国なども同一構造

アリの世界では”アリ塚”というコロニーを中心に、時に数万を超えるアリ達が、徹底的に統制された分業社会を構成しています。

食べ物を運ぶ運搬アリ、巣のメンテナンスをするアリ、敵と戦う軍隊アリなど様々な役割を担う個体が、誰が統制する訳でもなく職務を全うし、1つの生命体のように社会を営んでいるわけですが、

これほど高度に分業化し、気候変動や外敵による組織損傷などの変化に適応し続けている生物はアリの他には存在せず、見えざえる集団知性によって種を永存させ続けています。

環境適応力の源泉となる2要素+α


ここからが本題で、この「創発」を扱う複雑系理論学者のベンジャミン・リキテンシュタインは、下記2つの条件が揃ったとき、極めて適応力の高い集団が生まれるという結論を出しているのですが、これがもうメルカリ先生のコアバリューのそのままなんですよね。(気付いた時は驚きました)


①つ目は組織のメンバー(個)が変化への適応性に富んでいること。

②つ目は共同体への自発的な貢献。

です。①つ目は皆さんご存知、Go Bald。前例にないようなチャレンジをする事(=変化や実験)を奨励してますし、評価系統もこの行動規範に紐づいています。

②つ目も皆さんご存知、One For All(共同体への貢献)です。

ベンジャミンはBe professional(自律)こそ条件として挙げませんでしたが、アリの世界では共同体のために軍隊アリが捨て身で戦う事はザラですし、もし仮に軍隊アリが食われた場合、誰が指示する訳でもなく既存の集団の中から軍隊アリへのジョブチェンジ(①の変化への個の適応)が行われます。

アリの世界において職務は(自我の存在は定かではないですが)まさに自己犠牲レベルで徹底されており、その姿勢はまさにプロフェッショナルと言えるのではないでしょうか。

またアリはフェロモンという情報共有手段を通じて種への危険や餌の場所など、組織の利になることを本能的に伝達し、自我の有無はさておき自発的に共同体へ貢献しています。

こうやって言語化してみると、上記の2条件+規律を持つ組織が”個体レベル”では一定の犠牲を多少伴いながらも、”種”全体としては自然界を生き残っている理由に納得感が持てます。「反脆弱性と脆弱性は階層構造である」というニコラス・タレブ一説にリアリティを感じられる一例です。

生物学×心理学で自然界の法則を再現する

さて、アリについてグダグダ豆知識を披露しましたが、上記の自然界の勝者の法則をそのまま経営に活かそうとしても、当然人間はアリのように単純ではないので上手くはいきません。人間には”心”がありますから、橋渡し役として心理学や脳科学、社会学がオーバラップしてきます

例えば①の個の適応性でいうと、柔軟さに個体差がありますから採用レベルから設計する必要があります。サイバーエージェントの曽山さんが「事業内容が日々変化するので、採用基準は素直な人にしている」とICCの記事で仰ってましたが、これはCAの事業環境上、極めて合理的な判断です

何故かというと人の素直さや姿勢/マインドを変革するには、心理学の研究からも出ているように意図的に”適度な葛藤”を作り出す必要があるため、その難易度からするとあまり現実的ではありません。

②の共同体への貢献という文脈においても、自己保存の本能があるように人間は本能的に組織の全体の利よりも個人や家族の利を優先します。これは自然な事です。

そのため組織運営においては組織への貢献というコアバリューを守った人への報酬や賞賛を惜しみなく伝える事で、マズローが提唱した6段階目の「自己超越の欲求」、つまり組織/コミュニティの成功が自分の事のように喜べる状態まで昇華させる必要があります

そのため組織への貢献が脳内報酬系として感じられるよう、外発的+内発的な報酬スキームを会社に内在させることが必須要件になってくるわけですが、フリークアウトの佐藤さんの記事とかは本当にこのあたりの示唆が多いので最近研究させて頂いております。

(余談で、マズローの5段階までが有名な理由として6段階目の「組織の成功を優先する」という思想はソ連が推進していた共産主義に通じるものであり、冷戦下のアメリカの制裁対象だったため死ぬ直前まで6段階目を公表しなかったと言われています。このタイムラグによって5段階までが世界中で普及しているようです)

終わりに。

いろいろ飛びましたが、総論としては自然界で成功したアリの強さを学者が言語化すると、まさにメルカリの3つのコアバリューに収斂していくというのが今回の要点でした。

以前読んだ孫正義 -300年王国の野望に「会議中に話は広がり、生物学を話まで及んだ」という一説がありました。当時は意味が分かりませんでしたが、最近になって孫さんは、生物学と自然界における勝者の法則性から意思決定のヒントを見出そうとしていたのではないかなとも思えます。

経済学の古典「資本論」を書いたマルクスは「種の起源」を生んだダーウィンに贈呈し、当時手紙も書いています。マルクスは資本主義と自然界との共通性を見出していたのでしょう。

自然界以上に変化が激しい環境で戦う我々としても、上記の①変化の適応力 ②共同体への貢献 という2つを企業文化に宿す事が出来れば(自然界の法則を万物の法則とするなら)競争力を生み出す事が出来るのではないかと思います。

社風だけで好業績が生める訳ではありませんが、様々な歴史や事例を言語化して今後も企業運営に活かしていきたいと思います。

最後ふわっとした感じですが(いつもか)今日はこれでおしまい。

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